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1章 巫山之夢《12》
風呂を上がり居間に戻った根夢は、障子戸を開けるなり怪訝な表情を浮かべた。 根夢の席を挟んであさきとアズキが睨み合っていたからだ。 ...
アジアンテイストの怪しい雑貨の販売等で活動中の原作者、croe氏の世界「アジアンゴシック」を題材とした小説を公開するブログです。
風呂を上がり居間に戻った根夢は、障子戸を開けるなり怪訝な表情を浮かべた。 根夢の席を挟んであさきとアズキが睨み合っていたからだ。 ...
「獣臭い」 吉原を出てあさきと合流した開口一番、酷いしかめっ面であさきはそう吐き捨てた。 それっきりだんまりのまま家に帰ると、着くな...
余所行きの笑顔を張り付けたまま戻ってきたたまもは、抱えてきた黒猫を部屋に置き去りにして、再び部屋を出ていってしまった。 その黒猫は...
「根夢君、夜鷹(よたか)って判るかしら」 「えーと、認可が下りていない、言わば違法の遊女ですよね」 「違法、そうね……一口で言ってし...
「玉藻前……え、本物ですか?」 「さあ……どうだろうね?」 目を丸くし身体を離す素振りを見せた根夢にしな垂れかかり、たまもは五本の...
言わず語らず我が心 乱れし髪の乱るゝも つれなきは唯うつり気な どうでも男は悪性者(あくしょうもの) さくらさくらとうたわれて い...
「おはようございます、眞竹(さなたけ)ですが――」 三人が自宅に戻り再度の外出に向けて荷物整理をしていると、玄関の戸が叩かれ、来客を...
翌朝、さして広くもない居間で、寝夢、あさき、中川の三人はちゃぶ台を囲む。 開け放たれたままの障子の向こう、台所からは食欲をそそる味...
縁側に座り込んだあさきは、雲一つない夜空に浮かんだ真ん丸な月を見上げる。 本の山をかき分け、どうにか二人分の布団を敷きおえた根夢が...
昼の間四人が膝を付け合わせていた居間に、今は根夢が横たわり、月の光が瞼を照らす。 枕元ではあさきが胡坐をかき、左手中指には赤く細い...