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1章 巫山之夢《22》
桜人で賑わう上野公園。 散り始めの桜が宙に舞い、天も地もどこをみても桜色で、息苦しいくらいだ。 木々の合間に見える青空が唯一息...
桜人で賑わう上野公園。 散り始めの桜が宙に舞い、天も地もどこをみても桜色で、息苦しいくらいだ。 木々の合間に見える青空が唯一息...
廊下を歩く榊がふと振り返る。 「ひな子さん、晶墨からこの家について何か聞いたかい?」 少し緊張した面持ちの榊に、ひな子は柔らかく...
「薬師の、偉い方だったんですね」 花模様の平べったい巾着袋を両手で大事そうに抱えた娘が晶墨に視線を送る。 「何をもってして偉いかは...
夢の世界から戻った根夢は、道具の片付けもそこそこに、あさきを伴い中川の家へ急いだ。 少し疲労の色が見えたアズキには、しっかり施錠を...
あぁ、やっと死ねる。 そんな事を思うなど、忍びとしては失格なのだろう。 だがもういい。 こんな赤錆色の色羽織なんか着せられ...
静まり切った部屋に、突然シュッと布が擦れるような音が鳴る。 黙ったままじっとしていたあさきは、怪訝そうに一瞬眉をひそめた。しかし...
薄く開けた窓から差し込む月明りが、行灯の柔らかな灯りに溶け込む。 浴衣姿で布団の上に座り、猫の姿で膝に乗っているアズキの背中を、寛いだ...
「あの……に、似合っては……いますよ」 「慰めになってないよ根夢君」 「す、すみません」 背中に金糸で大きな鯉の刺繍が入った黒い着物...
中川の家に着くと、玄関先では妖物を見る為のものであろう眼鏡を掛けた晶墨が、難しい顔で中川の家を見上げていた。 榊達を見つけるや、小走り...
2020年になりましたね! 昨年は大変お世話になり、ありがとうございました。 本年もどうぞよろしくお願いいたします。 実は昨年末、...